2017年3月3日金曜日

アーティストインタビュー 第一回 佐藤文音さん


こちらのコーナーでは、表現者として現在活動中のアーティストを、ジャンル問わずご紹介していきます。主にこれからが楽しみな若手作家が中心。ぜひ今のうちにチェックしてください!

第一回 版画家 佐藤文音(さとう あやね)さん

記念すべき第一回目は、版画の一種であるリトグラフを用いて作品を製作している佐藤文音(さとうあやね)さんにお話をお聞きました!
現在webのお仕事をしながら創作活動を続けている佐藤さん。彼女のイマジネーションの源とは?


profile
佐藤 文音(さとう あやね)
北海道小樽市出身
東京都在住
武蔵野美術大学 版画科卒業
現在版画工房ラール・ヴェリテリトグラフ研究所所属


record
2010年  9人のリトグラフ展(秋葉原 COEXIST & Ouchi GalleryNY)
     ラール・ヴェリテ リトグラフ展(六本木 AXISギャラリー)
2011年  第1回マカオ国際版画トリエンナーレ 選抜(Macao)
      版プリ展2011(渋谷 アートギャラリー道玄坂)
     三人展Anagram(東中野 スペース)
     佐藤文音 exhibition -Be quiet.(銀座ヴァニラマニア)
2012年 日本版画協会第80回版画展 入選(東京都美術館)
     魔術子の部屋(銀座ヴァニラマニア)
2013年  版画4人展 (国立 アートスペース&ティー「わとわ」)
2014年  高知版画トリエンナーレ 入選
     ラール・ヴェリテ リトグラフ展(コート・ギャラリー国立)2015 
2015年  佐藤文音・戸田雅也 リトグラフ2人展(銀座 Oギャラリー)
     日本版画協会第83回版画展 入選(東京都美術館)
《ここにいるよ》
2016年リトグラフ

ーーー絵を描くことは昔から好きだったんですか?
 小学2年生から絵画教室に通っていました。ピアノや水泳やスキーの教室にも通わせてもらいましたが、結局最後は絵画だけが残って。学校の美術の先生になりたかったんです。高校では美術部で油彩をやっていて、大学でも油彩を続けるつもりでしたが、受かったのが版画だったんです。それまで版画は苦手な方で。


《Play-祈り-》
2014年 鉛筆

ーーー版画を続けようと思ったきっかけはあったのですか?

 やってみたら、版画の黒が本当に綺麗だったんです。今まで見たことのない「黒」がそこにあって。色に惹かれた感じですね。版画を夢中になって勉強していたら、油絵のことを考えることもなくなって。でも描くことから離れたくない気持ちもあったので、版画でも描いたものがそのまま出てくれるリトグラフが私にはあっていたようです。
 大学の先生の紹介で、石橋泰敏先生の版画工房ラール・ヴェリテリトグラフ研究所でお世話になるようになりました。版画にきちんと向き合うようになれたのは、研究所に入ってからですね。


ーーーすみません、リトグラフってどんなのでしたっけ?
 石灰石や金属板に、科学的な処理をして油性インクを引きつける部分とインクを弾く部分を作って、水と油の反発作用を利用して専用のプレス機で刷っていきます。
(板面に油分の多い画材で絵を描き薬品をつけ、ローラーで油性インクを載せると描いた部分にだけ色がつく。この板面に紙を乗せてプレスするとインクが転写される)
 作品が仕上がるまで、学生の頃は版が完成してから数日かかっていたのですが、版画工房の先生の特別な手法とご指導によって1版を1日で刷れるようになりました。

  《イマジナリー・フレンド1》
 2015年アクリルガッシュ




《イマジナリー・フレンド5》
  2015年アクリルガッシュ



ーーーー佐藤さんの作品は、可愛いだけじゃない独特の世界観を持っていますが、影響された作品や好きな作家さんはいますか?
 コマ撮りアニメが好きで、特に双子のアニメーター、ブラザーズ・クエイの『ストリート・オブ・クロコダイル(Street of Crocodiles・1986年公開の英国映画・人形が主人公のストップモーションアニメーション)』が本当に大好きなんです。大学入学のために東京に出てきてから知ったんですけど。渋谷とか、東京の映画館では色々見ることができて衝撃でした。北海道の無人駅文化で育ったもので(笑)
 画家の七戸優さんや、絵本作家の出久根育さんも好きです。

ーーー佐藤さんが作品を作るときにテーマとしているものや、大事にしていることはありますか?
「うたかた」「眠っている間の夢」がテーマで、非現実的なものをリアルに表現する作品を作っています。
 版画は同じものをつくるのが大事だと、工房に所属してから学びました。とても当たり前のことなのですが、販売するのですから、展示している作品と同じものを複製することを心がけています。私は一度すり終わった原版は廃棄しています。

《サーカス》
2014年リトグラフ
ーーー今後やってみたいことなどはありますか?
 絵本を作ったり、イラストレーションや挿画をやりたいと思っています。ある絵本業界の方にお話を伺ったら「絵本は子供のためのもの」とおっしゃっていて。私の絵はどちらかというと大人向けなので(笑)。大人向けの絵本にチャレンジしてみたい気持ちもあります。



☆☆☆インタビューを終えて☆☆☆
 実はインタビューした日が初対面だったのですが、佐藤さんは明るくて笑顔が素敵で、とても楽しい時間を過ごさせていただきました。
 自分が表現したいことと世間から求められるもののギャップ、アーティストとしてどのように自分をプロデュースしていけば良いか等、悩みながらも描くことと真摯に向き合う姿に感動してしまいました。
 2017年10月には個展の開催を予定されているそうです。
 近況ではイラストのお仕事も増えてきている様子。今後も彼女の動向を見守っていきたいと思います。
 佐藤さん、貴重なお時間ありがとうございました!
(今回のインタビューには、アートエバンジェリストの柿沼幸恵さんにもご協力いただきました)

☆☆☆佐藤文音さんへのコンタクトはこちらから☆☆☆
HP
http://www.ayane-amedama.com/

ツイッターアカウント
https://twitter.com/ayane_amedama

人気の記事